背景
子供が遠方の学校にアパート住まいで通うことになったので、その子供だけ、「旧住所:実家 → 新住所: アパート」 への転居届けを出して郵便物を転送するようにしました。
転送有効期間中は「転送不要」と記載された郵便物が差出人に戻ることになり、その差出人の提供するサービス(クレジットカード、マイナンバー等)の登録住所を変更しないと郵便物が受け取れないということがわかり、転居届を取り消したいと思いましたが、転送の解除や中止はできないということが日本郵便のページに記載されていました。そこで、解除された状態と同じになる方法を調べるとともに、転送システムのアルゴリズムを考察してみました。
転送サービスの解除方法
郵便マンのサイトと良いこと色々ねっとのサイトに情報がありました。詳細はそれらを参照いただけると良いと思いますが、要点は、
「旧住所:何も書かない → 新住所: 実家」または
「旧住所:実家 → 新住所: 実家」の転居届を出すということです。
このどちらかを出すことで、実家宛の郵便物は実家に、アパート宛の郵便物はアパートに配達されるようになるようです。
また、e転居の説明に以下のような説明がありました。
「引越しをする予定だったのでe転居で届出をしたのですが、引越しを取りやめました。このような場合は、どうすればよいですか?」に対して、「旧住所の配達を受け持つ郵便局へご相談ください」というものです。これは解除することと同じと思われるので、郵便局に相談することで解除できる可能性もありそうです。
ちなみに、アパート等に入居して、前の人の郵便物が届いてしまうときは、郵便局に入居届のような定型の申請用紙はなく、配達を担当する郵便局へその旨を連絡すれば良いとのことです。
郵便転送システムの考察
上の転居届けを出すことで、転居届を解除したのことと同じになる理由について以下で考えてみます。
転送サービスの仕様
情報を集めると転送サービスは以下のような仕様です。
- 届出日から1年間、旧住所宛の郵便物を新住所に転送する
- 転送サービスの解除・中止はできない
- 転送期間経過後は、旧住所宛の郵便物は差出人に返還される
- 転送サービスの解除をする場合は、新住所からの旧住所への転居届を出す
- 解除はできないが、解除をした場合と同じようになるという意味だと思います。実際に解除されれば宛先が新住所の郵便物は新住所に配達され、宛先が旧住所の郵便物は旧住所に配達されるはずです。この方法では宛先が旧住所の郵便物だけでなく宛先が新住所の郵便物も旧住所に配達されますので、解除された場合とは異なります。
- 新しい転居届の届出日から1年間有効と思われます。
- 同時に複数の転居届(A→B, B→C等)を有効にできる(日本郵便のサイトでの記載は見つからず、個人ブログに記載あり)
- 転居届の旧住所と新住所は同じ住所を書いても良いし、旧住所は空欄でも良い (いずれも個人ブログより)
- 論理的に考えて、旧住所と新住所を同じにすれば解除したことと同じになるのではないかと考えましたが、こちらのサイトにそのように紹介されていました。また、これらの方法で解除した場合と同じにできるようです。
転送サービスのアルゴリズムの推定
日本郵便のウェブページに、転送サービスの解除をする場合は、新住所からの旧住所への新しい転居届を出すように記載があります。転送サービスが新しい転居届の届出日から1年間有効だとすると、以下のように考えられます。
転居届は以下のものを提出したとします。(T0<T1)
届番号 | 旧住所 | 新住所 | 届出日 | 転送期限 |
I | A | B | T0 | T0e (=T0+1年) |
II | B | A | T1 | T1e (=T1+1年) |
配達先は時期によって以下のようになると思われます。
時期番号 | 時期(N:Now) | 宛先 | 配達先 | 備考 |
i | T0<N<T1 | A | B | Iによる |
ii | T1<N<T0e | A | A | I, IIによる |
iii | T0e<N<T1e | A | A | * |
iv | T1e<N | A | A or 差出人 | ** |
* iiiの時期は、日本郵便のウェブページの説明から、届出後1年間はAに配達されると考えて良さそうです。
一方、この時期は届番号Iの転送期限は切れているので、Iからは配達先は差出人になります。
届番号IIは宛先(旧住所)がBに対する転送なので、配達先の変更作用はありません。
以上の2つの届けからはiiiの時期は配達先は差出人になります。しかし実際は届番号II提出後1年間は配達先はAになると考えて良さそうです。(例えば届け番号I提出11カ月後に届け番号IIを提出したときに、1カ月でAへの配達は終わり、その後配達先が差出人になることはなさそうに思われます。)
そのようにするためには、宛先に対して旧住所のマッチングだけではなく、新住所のマッチングも確認して、届出日が最新の新住所に配達するというアルゴリズムがありそうです。
すなわち、以下のようなデータベースが考えられます。
- 転居届受理時には、ある住所Aに対して、以下のものを登録する
- 旧住所がAの場合、旧住所転送期限(旧住所届出日+1年)、新住所B
- 旧住所Aの新しい転居届受理時は上書きする
- 新住所がAの場合、新住所転送期限(新住所届出日+1年)
- 新住所がAの場合も住所Aのデータベースに登録する
- このとき旧住所の登録は不要
- 新住所Aの新しい転居届受理時は上書きする
配達先はデータベースから以下のようにして決めます。
- 転送期限がすべて切れていれば、配達先は差出人
- 転送期限が有効なものがあれば、もっとも遅い転送期限の配達先を選択する。すなわち、旧住所転送期限が遅ければBに配達し、新住所転送期限が遅ければAに配達する。
以上のアルゴリズムで、iiiの時期は以下の転居届で転居届が解除された場合と同様の配達先になります。
「旧住所:何も書かない → 新住所: 実家」または
「旧住所:実家 → 新住所: 実家」の転居届を出す
** ivの時期については、上のアルゴリズムとした場合、どちらの転送期限も過ぎているので配達先は差出人になります。一方で、しばらく遠方に住んでおりそちらに転居届を出していたが、実家に戻ってきてそちらに転居届を出した場合に、毎年転居届を出し続けないと1年後からは実家宛の郵便物が差出人に配送されるということはなさそうです。
これも加味すると、最も遅い転送期限が新住所転送期限の場合には、期限後もAに配達するというアルゴリズムも付加されているのかもしれません。
以上は、推定したアルゴリズムなので、正確な所をご存じの方がいらっしゃいましたら、コメント等いただけるとありがたいです。
最後に
転送サービスの解除・中止ができない理由については思いつきませんでした。これについても理由をご存じの方がいらっしゃいましたら教えていただきたいところです。
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