リアルフライトのはじめかた 2:プロポ購入編

シミュレータ
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プロポについて

リアルフライトを楽しむためにはプロポを使うことを推奨します。実機操縦の練習用シミュレータとして用いるのであればプロポ一択です。

プロポとは
  • プロポの語源はプロポーショナル(比例)システムといわれており、そもそもは、送信機のスティックを傾けた角度と、受信機に接続されたサーボの回転角度が比例するという意味合いではないかと思います。
  • プロポは、ON/OFFの2段階の信号を伝えるだけでなく、ある程度の段階数のある信号を伝達できるというところが本質的な所だと思います。
  • プロポの設定で、「エクスポネンシャル」等の機能を効かせると、この2つの角度の関係は比例ではなく、設定した曲線や折れ線に従うようにできるようになりましたが、名前はプロポのままです。
  • 以上はオープンループ制御の話ですが、ドローン等は、姿勢(ATTItude)制御系や位置制御系を持たせ、PIDの入れ子制御になっており、送信機のスティックの傾きで制御の目標値を与えるようになっているものもあります。当初、プロポの語で、フィードバック制御の比例(Proportional)制御も意味していたのかどうかはわかりません。
  • 送信機と受信機とサーボ等でシステムが構成されていますが、一般に日本でプロポというと送信機だけの呼称になっています。
  • 海外では、ラジコン送信機のことは、(radio) transmitterやTxと呼ばれており、(無線)送信機そのままです。
  • 下記に示すようにゲームパッドもスティックの傾き角度伝達の段階が256程度あり、その角度に比例してシミュレータ中の指令値が動いているので信号は比例して(プロポーショナルに)伝達されているといえますが、一般には電波で指令を伝えるラジコンやドローンの送信機がプロポと呼ばれています。
分解能と角度伝達の段階
  • 「角度伝達の段階」ですが、最初は「分解能」と書いていました。
  • 「分解能」の本来の意味は、識別・計測可能な最小の距離や視角のことです。
  • ところが、分解能10ビットといういいかたもあり、これは210=1024段階で識別・計測できるという意味で使われます。例えば、計測範囲が±5Vであれば電圧の幅は10Vなので、10V/1024=約0.01Vが本来の意味での分解能です。範囲が決まらなければ、本来の意味での分解能はいくらなのかは定まりません。
  • このように、全体の範囲がいくらなのかはおいておいて、全体の範囲を何段階に等分割して識別・計測可能かという意味でも分解能の語が使われることがあり、どちらの意味かは文脈で判断することになります。
  • 以後、全体の範囲を何段階に識別・計測可能かという意味でも分解能という用語を使っていきます。この意味でも「分けて解する能力」という意味で字義通りといえるかもしれません。

リアルフライトは、Windowsでゲーム コントローラーとして認識されるデバイスで操縦することができました。Direct Input, XInputのどちらでもOKでした。

ゲーム コントローラーとして認識されるデバイス

エクスプローラー(⊞ win+e)のアドレスバーに「コントロール パネル\ハードウェアとサウンド\デバイスとプリンター」と入力するとデバイスとプリンター等の一覧が表示されます。コントローラーをUSBポートに接続したときに現れるアイコンを右クリックして、「プロパティ(R)」>「全般」タブ>「デバイス情報」>「カテゴリ」 が「ゲーム コントローラー」のデバイスがゲーム コントローラーとして認識されるデバイスです。

win11補足: 2024/04/21に試したところ、win11では以下のように変わっていました。
エクスプローラー(⊞ win+e)のアドレスバーに「コントロール パネル\ハードウェアとサウンド\デバイスとプリンター」と入力すると、windowsの設定ウィンドウの「Bluetoothとデバイス」が開きます。「デバイス(「デバイスの追加」のではなく)」> 「その他のデバイスとプリンターの設定」を押すと、デバイスとプリンター等の一覧が表示されます。以下同文

ゲーム コントローラーのアイコンとプロパティの例

本記事では、いくつかのコントローラー(プロポ)について特徴を記載したいと思います。InterLink DXは公式サイトでリアルフライトとセットで販売されているプロポであり、Evolutionの全ての機能が使用できます。Futaba T6K V3S (以後T6Kで表記)は、日本のフタバ電子がEvolutionとセットのパッケージで販売しているプロポです。これらのプロポを中心に説明します。

リアルフライトはゲームパッドでも操作は可能ですが、分解能がプロポに比べて粗く、スティックが短いので操作は難しくなります。またゲームパッドでは左右のスティックは手を離すと真ん中に戻るので、スロットルスティックも手を離すと真ん中に戻ることになり、飛行機、ヘリコプター、高度安定化機能のないドローンの操縦では常にスロットルスティックを操作しつづける必要があります。

実機用プロポ購入時注意点

実機用プロポをシミュレータだけで使用する予定なら、受信機・サーボが含まれておらず送信機だけの商品であることを確認して購入する必要があります。受信機やサーボはシミュレータでは必要ありません。

また、実機用プロポをシミュレータで使用する場合には、プロポに対応した、無線または有線のUSBドングルが必要です。

無線ドングルはS-FHSS等の通信方式がプロポとドングルの双方で対応していることを確認して購入します。

有線接続ではPPMモードのトレーナーポート出力のあるプロポが接続できるようです。有線ドングルはプロポとの相性があるようなので、商品説明やレビューなどを確認して購入するのが良いと思います。

実機用プロポをPCに有線で接続する場合には、プロポのトレーナーポートと有線USBドングルを接続するケーブルも必要です。

プロポの対応機種とモード

プロポには、「飛行機用・ヘリコプター用・ドローン用」、「モード1用・モード2用」の区別があります。購入後に変更もできます。

変更方法は、InterLink DXは、裏蓋を開けずに背面のスイッチと前面のネジ(+ドライバで回す)で変更できますが、T6K等の通常の無線プロポは裏蓋を開けて部品の交換・付け外しをすることが必要です。部品がない場合は購入する必要もあり、それなりに手間ですので最初から使用予定の機種用で使用予定のモード用のプロポを購入するのが良いと思います。裏蓋を開けて部品を交換するにはある程度の器用さが必要と思います。

各機種用、各モード用で以下のような違いがあります。モードには3, 4もありますが、ほとんど使われないので割愛します。

機種スロットルスティック左右スティック長さ
飛行機用手を離した場所にとどまる
「その場とどまり式*」
約30段階でカチカチ動く
普通
ヘリコプター用手を離した場所にとどまる
「その場とどまり式*」
ほぼ無段階に動く
短い
ドローン用手を離すと真ん中に戻る
「中央戻り式*」
ほぼ無段階に動く
普通
各機種別の違い

*は、一般的な用語ではありませんが以後このように呼びます。T6Kの取扱説明書には、「ラチェット式スティック」・「セルフニュートラル式スティック」と記載されていますが、検索してみるとこれらの用語は普及しているようではありませんでしたので、わかりやすい語で記しました。

ラチェット

「ラチェット」は、一般に一方向だけに回転する機構ですが、プロポのラチェットの場合は、スティックがカチカチ動く状態のことをいうようです。「ラチェット」が順方向に回るときにカチカチいう感じが同じだからではないかと思います。スティックがカチカチ動くようにするギザギザにかみ合う部品のこともラチェットといいます。ここから更にヘリコプター用のスロットルスティックのように無段階に動いて、手を離した場所に摩擦で止まるようにする部品もヘリコプター用ラチェットという名前で呼ばれています。これらのスティックの摩擦感を変える部品はプロポの「ラチェットセット or ラチェット板」として売られています。

スティックモード説明
モード1右側スティックの縦の動き: スロットル
左側スティックの縦の動き: エレベーター
日本で長年やっている人はこちらが多い
ヨーロッパでも使われている
モード2左側スティックの縦の動き: スロットル
右側スティックの縦の動き: エレベーター
アメリカではこのモードの使用者が多い
各モードの違い

エレベーターは機体の揚力方向(機体の上下軸)を前後に傾ける舵、エルロンは左右に傾ける舵ですが、その動きをさせるスティック名にもなっています。

ドローンには舵はありませんが、機体の揚力方向(機体の上下軸)を前後に傾けるスティックをエレベータースティックといい、左右に傾けるスティックをエルロンスティックといいます。

ラダーは機体を左右に回転させる舵ですが、同様に機体を左右に回転させるスティックをラダースティックといいます。

スロットルスティックはプロペラ回転数を増減させるスティックです。エンコン(エンジンコントロール)スティックとも呼ばれるようです。

どの機種用かによって、スロットルスティックは、「カチカチ動く or なめらかに動く」と「手を離した場所にとどまる or 手を離すと真ん中に戻る」の違いがあります。モードによらずスティックの縦の動きは、スロットルスティック側がこの動きになり、エレベータースティック側は「手を離すと真ん中に戻る」・「ほぼ無段階に動く」ようになっています。

プロポの設定には何々モードというものがたくさんありますが、モード1・モード2といえば、スティックモード==フライトモードを指しています。

参考

リアルフライトは飛行機もヘリコプターもドローンも含まれているシミュレータなので、飛行機もヘリコプターもドローンも飛ばしたくなると思いますが、機種の変更の度に、いちいちプロポの裏蓋を開けて部品の交換・付け外しをするのは手間です。各自の良いようにされるのが良いと思いますが、自分はヘリ用の設定で、飛行機もドローンも飛ばしています。

私見ですが、飛行機のスロットルはカチカチ止まらなくても、なめらかに動いて手を離した場所で止まれば特に問題ないです。ドローンのスロットルも高度安定化が入っていればスティックを中央付近で離せば高度は保持されますし、高度安定化が入ってなければ常に高度を調整する必要があり、手を離すと真ん中に戻る機能はむしろいりません。

プロポの裏蓋のネジがちょっとかためで、何度も開け閉めしているとネジをなめそうということもあり、何度も裏蓋を開け閉めしたくないので、全ての機種をヘリ用で使っています。

各コントローラーの説明

最初にプロポの比較表を示します。分解能については本記事の「各コントローラーの空間分解能と時間分解能」に計測値をまとめました。

項目InteLink DXFutaba T6K V3S
PCとの接続方法有線USB・無線USBドングル
(WSC-1等)
・有線USBドングル
どちらも別途購入の必要あり
・有線の場合は接続ケーブル
スティック以外の
操作
以下の操作はプロポのUIで可能
・墜落後のリセット
・巻き戻し
・機体/飛行サイトの選択 等
・キーボード/マウスを使用
・巻き戻しはWSC-1では使えず、
有線ドングルでは使えた
(ドングルによる可能性あり)
モード1/2切替ソフトの設定で行う*ソフトの設定で行う
スティックの
「その場とどまり式」と
「中央戻り式」の変更
背面のスライダースイッチで
変更可能
裏蓋を開けて、部品の交換・
付け外し
ラチェット感の変更
(カチカチ/なめから)
前面のネジを+ドライバで回す裏蓋を開けて、部品の交換・
付け外し
スティックの中央戻し
バネ強度の調整
前面のネジを+ドライバで回す
電源USB給電乾電池/充電池
実機対応PCだけで使える実機にも使える
故障対応海外製なので大変国内メーカーなので安心
分解能空間分解能・時間分解能とも
普通より細かい
普通
大きさひとまわり大きい普通
プロポの比較

* ここでのモード1/2の切替は、左右のスティックの縦の動きの、どちらがスロットル操作になるかを切り替えることを意味していますが、InterLink DXの背面のスイッチでは、これが切り替わることはありませんでした。この切替は、リアルフライトの”Select Controller”>”Edit”で行います。

InterLink DX

InterLink DX Controllerはリアルフライトの販売元であるHorizon Hobby, LLCの一部門であるSpektrum RCのリアルフライト用コントローラーです。型番はSPMRFTX1です。電波は出力せず、PC接続専用です。

InterLink DX Controllerの英文取扱説明書のpdfファイルはこちらです。
英語版リアルフライト9取扱説明書のp. 320 Appendix Aにも、ほぼ同じ説明が記載されています。

USAで売られている製品なので身長178cmの自分の手にもやや大きく、スティックを中央に戻すバネは最弱に調整してもまだ強めでした。バネ自体を弱めのものに交換するのが良いかもしれません。

スイッチについて

REALFLIGHTマニュアル p.321より

プロポの操作スイッチには以下のものがあります。
デジタルが8CH=2+5+1
アナログが7CH=1+4+2
合計で15CH=8+7です。(メニュー・トリム操作用とパルスは含めず)
チャンネル(CH)にD/R(Dual Rate)の切替分を含めないとその分減ります。

スイッチ種別個数名称
2ポジションスナップスイッチ2①A, ⑧H
3ポジションスナップスイッチ5②B, ④C, ⑤D, ⑦F, ⑨G
ボタン(OFF/ON)
押している間だけON
1③I (パニックボタン)
ボタン(OFF/ON)
押している間だけON
メニュー・トリム操作用
11⑬Reset, ⑭Cancel
⑮Select
⑰⑱⑲⑳トリム×8
パルス
(回転中に短時間のON
パルス出力)
2⑮スクロールホイールの
左右回転
回転ノブ (アナログ)1⑥R
スティック (アナログ)4⑩⑪左右×縦横
リアスライダー (アナログ)2(26)(27)左右
(○数字を()で示した)
スイッチ類の個数と名称
参考

DirectXのGetDeviceState()でプロポの指令値をDIJOYSTATE2構造体に取得したときの各スイッチの値がどのメンバーにどのように取得されるかをテーブルに示します。
(別ウィンドウでGoogle スプレッドシートが開きます)

背面スライダースイッチによる切替

背面スライダースイッチの写真

写真のように背面のスライダースイッチによりモード2とモード1が切り替えられるようにプロポには表記してありますが、背面のスライダースイッチで切り替えられるのは、スティックの「その場とどまり式」と「中央戻り式」の機械的な切替だけでした。

NORMALからCENTERにスライダースイッチを動かすときは、スティックを真ん中に合わせる必要があります。スイッチはやや固めです。

このスライダースイッチは横に4段階に動くようになっていますが、真ん中の2つの位置では何も変わらず、実質は以下の3状態の切替になっているようです。自分が購入したプロポではそうでした。

位置表記縦スティック状態
黒NORMAL左スティック: その場とどまり式
右スティック: 中央戻り式
中央黒CENTER
赤CENTER
左スティック: 中央戻り式
右スティック: 中央戻り式
赤NORMAL左スティック: 中央戻り式
右スティック: その場とどまり式
スライダースイッチ位置による3状態

モード1とモード2の違いは、スティックの縦の動きの、左右のどちらがスロットル操作になるかですが、これについては背面のスライダースイッチでは切り替わりませんでした。裏蓋を開けてみても、メカ的な切替機構があるのみで、電気的な切替を行う部分は見当たりませんでした。

DirectXのアナログ軸信号値を取得する関数で確認しても、このスイッチの位置を動かすことでスロットルスティックの信号とエレベータースティックの信号が入れ替わることはありませんでした。

スライダースイッチの表記からは、上部のNORMAL | CENTER | NORMALの表記は表の機械的な3つの切替を表し、下部の黒と赤の表記は電気的な2つの切替を意味していると読むのが自然ですが下部の表記による切替はなされませんでした。

しいて言えば、左スティックをその場とどまり式で使用するのはMODE 2/4だけ、右スティックをその場とどまり式で使用するのはMODE 1/3だけなので、このように記載しているのかもしれません。しかし、この場合でもCENTERに対応する部分はMODE 1/2/3/4という表記になるはずです。

推測ですが、設計段階では電気的な切替を行う予定があって、4段階の切替で設計したものの、途中でコストや納期の関係で、「ソフトで設定できるならプロポのスイッチでの電気的な切替はいらなくない?」的な話になって、UI的にも「プロポでもソフトでも切替ができるとややこしくない?」的な話もあって、今の形に落ち着いたのかもしれません。切替部分のプラスチックの型ができていたら型の作り直しは大変だと思いますし。本当の所はどうなのかはわかりません。

モード1とモード2の切替は、リアルフライトの”Select Controller”>”Edit”で行います。

また、”Radio Gadget”で画面上にプロポを表示し、スティックの動きを画面上で見ることができますが、スティックの対応付けの変更は、上の設定とは別に「メニュー」>「Gadgets」>「Radio Mode (gadget only)」で行います。ここの設定は”Radio Gadget”の表示だけの設定になります。

トリムについて

トリムとは、スティックの傾きに応じた出力値にある値(オフセット値)を足しこんで、スティックの中立位置での舵の角度の微調整をすることです。

このプロポのトリムは、トリムを中央からずらすとそのスイッチがONになり、それをソフト側で読み取ってソフト内のオフセット量を増減させ、スティックの傾きに応じた出力値にオフセットを足し込む方式です。ソフトではそのオフセット値を設定ファイル等に記録していないようで、次回ソフト起動時にはトリムは0に戻りました。トリムを中立から変化させる場合は、ソフト再起動の度に毎回設定する必要があるようです。

Evolutionの新UI

プロポのCancelボタンもしくはキーボードのEscキーを押すと、Evolutionの新しいユーザーインターフェースが現れます。開発側はInterLink DXを使っていれば、プロポから手を離さないでも、ほとんどの操作ができるようになったと誇らしげですが、昔からのリアルフライトユーザーの評価は今ひとつです。9.5SにあったQuickSelectを更に進めたようなメニューです。QuickSelectもInterLink DXのCancel/Reset/Selectボタンで操作するUIです。

まずいことに、デフォルトでこの新しいUIだけが使えるようになっており、Evolutionには9.5Sの英語版マニュアルだけがついているのでこの新しいUIについてマニュアルに記載がなく、従来のメニューを表示させるコマンドについてもマニュアルに記載がありません。

ちなみに、従来メニューを出す方法は以下のとおりです。

~ (チルダ) もしくは ctl+shift+c を押して、コンソールを表示します。
> showlegacymenu
と入力します。メニューが表示されます。
これはトグルコマンドなのでもう一度入力するとメニュー表示は消えます。

必要に応じて
> titlebar
を入力します。これもトグルコマンドなので、入力してみて前の方が良ければ
もう一度入力します。

コンソール表示を消すには、最初と同様に、~ もしくは ctl+shift+cを押します。

InterLink DXではない、通常のプロポを使っている場合に、この新UIですと、設定時にかなりのもどかしさを感じますし、InterLink DXを使っていても従来のメニューに慣れていれば、そちらの方が素早くさくさくと設定できます。

個人的な意見ですが、新UIは、従来のメニューも使えるのであれば、たまにプロポから手を離すのが面倒くさいときに使うのもいいかなぐらいのUIで、全ての人に常に強要するのはどうかなと思いました。

Teflon mod

Spektrumのプロポは、特にヘリコプターを操縦するときに、スロットルスティックを動かすときの滑らかさが今一つという意見があり、テフロンテープをラチェットの部分に貼る改造も良く行われるようです。静摩擦がやや大きいようで微小な位置決めが難しくなっているようです。ラチェット部にテフロンテープを貼ることで静摩擦を小さくします。ラチェットの金属板を取り外し、それに厚手のテフロンテープの両端を熱収縮チューブで固定します。

“Spektrum TX Teflon Smooth Throttle Mod”あたりで検索をすると、改造方法の動画等が検索できると思います。

気にならないのであれば特に改造せずとも良いと思います。

トレーナーポート

本プロポの背面には、3.5mm モノラルジャックのトレーナーポートがついており、無線プロポのトレーナーポートと対応するケーブルで接続すると、本プロポが有線USBドングルがわりになります。

英文の9.5Sマニュアルには、トレーナーポートに接続するプロポは、FMまたはPPMモードに設定し、PCMモードにしないこととあります。

T6Kを接続して動作することを確認しました。T6Kのトレーナーポートのモジュレーションは常にPPMです。

その他

本プロポで、”DJI Flight Simulator”を動かすこともできました。こちらは別記事にまとめる予定です。

Futaba T6K V3S

T6KはFutaba電子でRealFlight Evolutionとセットでの販売もされているプロポです。

双葉電子工業 ホビーサイト ホームページ
双葉電子工業株式会社 ラジオコントロール ホームページ

Futaba電子のプロポに限らず、S-FHSS通信方式のプロポまたはPPMモードでのトレーナーポート出力のあるプロポであれば、接続用の無線USBドングルまたは有線USBドングルを用いることでRealFlightで使用できるのではないかと思います。ドングルはプロポとの相性があるようなので、商品説明やレビューなどを確認して購入するのが良いと思います。

双葉電子サイトのT6Kの取扱説明書は以下になります。
T6K V3S 取扱説明書
T6K V3S 変更点

先にも記載したように、プロポには機種(飛行機用・ヘリコプター用・ドローン用)とモード(モード1用・モード2用)がありますが、違う機種用・違うモードのプロポでも購入後にネジを外して裏蓋を開けて部品を交換することで変更することができます。プロポのマニュアルには「弊社カスタマーサービスへご依頼ください。(有償改造)」とありますが、双葉電子の取扱説明書のサイトにはその方法を説明したRF9.5付属 T6K フルスプリングからラチェット変更.pdfがあります。

モード1/モード2のスティックモードは送信機の”STK-MODE”の設定で変更できます。ただしスラスタ側のラチェットを対応するものに変更する必要があります。ただしフルスプリング仕様のマルチコプター・ロボット用は左右のラチェットが両方とも「手を離すと真ん中に戻る」ものですのでラチェット変更の必要はありません。また、送信機の”STK-MODE”の設定で変更するモード1/モード2の変更はリアルフライトのソフトの設定でも変更可能です。

8チャンネルプロポで、左右の十字のスティックで4CH使用しているので、プロポ上には他にスイッチA~DとVRの5チャンネルありますが、このうち4チャンネルだけを出力できます。

無線接続するならWSC-1とセットになっているものが良いと思います。有線接続するなら、トレーナーコードと有線接続USBドングルが必要です。

S-FHSS無線接続用USBドングル

WSC-1

双葉電子工業 ホビーサイト ホームページ
双葉電子工業株式会社 ラジオコントロール ホームページ
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取扱説明書にはWin10/8.1対応との記載ですが、Win11でも動きました。(必ずしもWin11で動くことを保証するものではありません)

T6K取扱説明書の「送信機の設定」で、「AUX CH」機能で以下の設定を行う意味を説明します。

双葉電子工業 WSC-1 取扱説明書より引用
  • 実際のラジコンでは受信機にCH[N](N:1,2,..)のコネクタがあり、例えばCH6のコネクタにフラップを動作させるサーボを接続して、上図のように、CH6▷VRと設定すると、プロポのVRのつまみを回転させると、飛行機のフラップが動きます。
  • 「AUX CH」の設定は、受信機のどのチャンネルのサーボが、プロポのどのスイッチを動かしたときに動くかという割り付けを示します。
  • T6KではSwA~SwDは、スリーステートスイッチで、サーボを接続した場合、最小角度・中立・最大角度の3状態が指令できます。指令値の段階は3です。VRや左右の上下スティックでは指令の段階は約900でした。
  • WSC-1で送信できるのは8CHまでです。左右の十字のスティックで4CH使用しており、残りの4CHをこの「AUX CH」で割り付けます。上図の場合は、SwBが割り付けられないので、このスイッチBの信号は送信されません。

MONTE DONGLE

MONTE DONGLEとHOI-LINK-αについては以下にリンクだけ紹介します。

MONTE Dongle
イメージはSCUDERIA FERRARI 。コンペティティブなレースに燃えよ! 大人気の無線シミュレータドン…

HOI-LINK-α

HOI-LINK-α - BODUK CO.,LTD
HOI-LINK-α フタバ専用品特徴:ラジコン用シュミレータ(ヘリ、飛行機、ドローンシミュレータなど)をお使いになる全ての方がご利用いただけるプロポとパソコンを無線接続する機器です。シミュレータの世界戦レベルで勝つこと

有線接続用USBドングル

各種あると思いますが自分が購入したものを紹介します。トレーナーケーブル付きでamazon.co.jpで約2000円でした。自分のT6Kでは動作しました。側面のスイッチの位置は2.で動作しました。

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付属のケーブルでInterlink DXをUSBドングルがわりにしてT6Kと接続することもできました。

下の有線USBドングルの空間・時間分解能の確認は本ドングルで行っています。空間分解能・時間分解能ともやや大きめでした。操作していて自分は今のところ無線USBドングルで接続したときとの違いは感じないですが、自分に知覚できないだけなのか、上級者にはこの分解能では物足りないのかはわかりません。

他の製品では本製品よりも分解能の小さいものもあるかもしれません。

ゲームパッド

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試しにゲームパッドでも操縦できるかどうかを、Logicool F310ゲームパッドで試してみた所、DirectInputでもXInputでもWindowsのゲーム コントローラーとして認識され、十字のアナログスティック2本を使って操縦することができました。スイッチは、プロポではスナップスイッチで切り替えますが、ゲームパッドではボタンをトグルスイッチとして割りつけ、1回押す毎にON/OFFするようになります。

ゲーム コントローラーとして認識されるアナログ軸4軸以上のゲームパッドで操縦できますが、プロポに比べて微妙な操作がしづらいので操縦難易度は上がると思います。リアルフライトの操縦を楽しむならプロポは必須ではないかと思います。

スナップスイッチではなく、押しボタンスイッチをトグルで割り付けた場合は、リアルフライトの画面にプロポを表示させるのが良いです。押しボタンスイッチを押す度に、プロポの該当のスナップスイッチの位置が変化するので、スナップスイッチの位置がどちらにあるかを知ることができます。

ちなみに、ゲームパッドで、”DJI Flight Simulator”を動かすこともできました。こちらは別記事にまとめる予定です。

購入方法

プロポ購入方法

InterLink DX

InterLink DXを日本の通販で購入すると2万2千円~程度ですが、amazon.comから購入(輸入)するとプロポ$100、送料約$20で合計$120、配送まで約2週間~1ヶ月です。為替レートが1ドル145円なら(100+20)x145=約17500円なので若干安いです。本体価格は$100×145=14500円<16666円なので輸入時に税金はかかりません。日本に配送できないという表示が出た場合は”Ships from Amazon.com”のものを選択すれば配送可能です。

リアルフライトEvolutionのソフトがバンドルされているものを購入するのであれば、amazon.comでプロポ+ソフトで$200、送料は同じく$20で合計$220でこれに日本の消費税10%(16666円を超えるとかかります)と数百円程度の通関手数料がかかります。同様に為替レートが1ドル145円なら145*(220)*1.1=約35000円です。日本の通販では4万円~程度です。本体価格が16666円を超えると税金がかかってくることもありその分高くなります。この場合のソフトの値段は約35000-約17500=約17500円となりますが、SteamのサイトでRealFlight Evolutionは15999円なので、この場合はソフトはSteamでオンラインで直接買う方が安くなります。

購入に手間をかけたくないという場合には、ソフトとInterLink DXがセットになっているものを通販で購入するのも手です。EvolutionではソフトはSteamからダウンロードする形のものだけです。InterLink DXの初期設定はフルスプリング(スロットルスティックが手をはなすと真ん中に戻る)のもの、モード2のものなどありますが、上に説明したようにプロポの設定で「スロットルスティックから手をはなすと真ん中に戻る」、「スロットルスティックが手をはなした場所にとどまる」が変更できますし、ソフトの設定で「モード2」、「モード1」等の変更ができます。

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Futaba T6K V3S

先にも記したように、シミュレータだけを操作し、実機を操作しないのであれば、受信機・サーボが入っておらず、送信機単体のものであることを確認する必要があります。また、飛行機用/ヘリ用/マルチコプター・ロボット用があるので、シミュレーション予定のものを購入するのが良いです。部品交換で後から変更することもできますが手間ですので。

WSC-1とセットで売られているものもあるのでWSC-1を使用予定ならそれも良いと思います。

FUTABA リアルフライト・エボリューション RCフライトシミュレーター+フタバ6K V3S送信機単品+WSC-1(日本語取扱説明書付属)00107333 - REALFLIGHT EVOLUTION 株式会社リトルベランカ    ラジコン機器専門店
ワイヤレスでシミュレーターが操作できるフライトシミュレーターの決定版!ラジコンのテクニックを学んだり、技術を磨くために最適な、人気のフライトシミュレーター「REAL FLIGHT 9.5」が「REAL FLIGHT EVOLUTION」とな...

箱に、付属品WSC-1と書かれたメーカー?のシールが貼ってありましたが、メーカーのサイトにはWSC-1同梱の製品については記載がありませんでした。

また、この製品にはWSC-1の取扱説明書がついていなかったので場所を示しておきます。
WSC-1 取扱説明書

各コントローラーの空間分解能と時間分解能

空間分解能

ちなみに、PCに接続したときのアナログ軸(左右の十字スティック)の空間分解能をプログラムを組んで確認した所、下記の表のようになりました。計測方法は、PCに接続した状態で、PCでプロポの指令の数値を記録しながらスティックをゆっくり何度も動かして「(最大値-最小値)/最小刻み」から求めました。

以下の表に、アナログ軸の出力(スティックの角度)を16ビットの-32768~+32768の整数として読み取り、プロポのスティックを微小に動かしたときのデータから最小刻みを求め、「(最大値-最小値)/最小刻み」から求めた空間分解能を示します。

コントローラー最小値最大値最小刻み空間分解能備考(刻み幅)
InterLink DX-2329622363162854最小刻みの整数倍のみ
Futaba T6K+WSC-1-327683276775874以下*最小刻みの1+1/3,
1+2/3, 2+1/3倍
も出てくる
Futaba T6K+有線USBドングル-2508827566256206最小刻みの整数倍のみ
Futaba T6k via 有線InterLink DX-2638425900321634以下*最小刻みの1.5倍
も出てくる
ゲームパッドF310
(Direct Input/ Xinput
で同じ分解能)
-3276832767256256最小刻みの整数倍のみ
バックラッシュ3刻み
程度あり
GetDeviceState()で取得時の各コントローラーの空間分解能

*: 「以下」と記載しているのは、最小刻みより大きな最小刻みの整数倍ではないデータも散見されたので、その分、分割数が減るため。ここに示した空間分解能は、全て最小刻みで分割されていると考えたときの分割数。整数倍の刻み幅はスティックをゆっくり動かしていても、サンプル時間経過後に最小分解能角度の複数個分を動いたためと考えられるため、整数倍の刻み幅観測値は無視して良いと考えている。

ここでの計測結果では、InterLink DXは、2854と非常に細かい刻みで指令を送信できる一方、T6K+有線USBドングルは206とゲームパッドF310よりも粗い刻みとなりました。無線プロポは通常10ビット=1024程度で、性能の良いもので11ビット=2048程度らしいです。InterLink DXとスイッチ配置が同じ無線プロポのSPEkTRUM DX8eの仕様には分解能2048と記載されています。

空間分解能によってどれだけ細かいスティックの角度変化を送れるかということになります。スティック角度が±30度で動くとすると、空間分解能256で60/256=約0.23度、空間分解能2854で60/2854=約0.021度です。0.02度刻みというと分度器の1度を50段階で動かすことになります。

時間分解能

以下の表に各コントローラーの時間分解能を示します。この時間分解能を求めた方法は別記事にまとめる予定です。時間分解能は、識別可能な最小の大きさという意味では単位は時間ですが、その逆数の周波数の方が自分にはわかりやすいのでここでは周波数で記載しました。

コントローラー時間分解能
InterLink DX約385 [Hz]
Futaba T6K+WSC-1約60 [Hz]
Futaba T6K+有線USBドングル約32 [Hz]
Futaba T6k via 有線InterLink DX約40 [Hz]
ゲームパッドF310
Direct Input
約85 [Hz]
ゲームパッドF310
XInput
約110 [Hz]
joyGetPosEx()で取得時の各コントローラーの時間分解能

時間分解能でもInterLink DXの性能が飛び抜けて良く、毎秒約385回の指令を送信できていますが、T6K+有線USBドングルは毎秒約32回の送信でした。

今回確認した方法では、送信機がどのぐらいの周波数で送信値を変えているかどうかを計測しており、リアルフライトでの読み取り時間間隔がそれよりも長ければ、時間分解能はリアルフライトでの読み取り周期ということになります。

さいごに

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コメント

  1. 匿名 より:

    リアルフライトの購入を検討してこちらにたどり着きました。
    DJIのRC231を使ってこちらをシムをプレイしたいのですが、
    windows上でコントローラーとして認識してれば使用する事は可能でしょうか?

    • さうきち さうきち より:

      DJI RC231 (RC-N1)を持っていたので自分のwin11 PCで試してみましたが、ゲームコントローラーとして表示されませんでした。
      (「コントロール パネル\ハードウェアとサウンド\デバイスとプリンター」に表示されませんでした)

      DJI RCでも試してみましたがこちらも表示されませんでした。

      手持ちのDJIの送信機では「DJI FPV送信機 3」(Avata 2用)だけが、ゲームコントローラーとして表示されました。
      「DJI Virtual Joystick」という名前で表示されました。

      コントローラをUSBで接続して、電源を入れたときに、windowsでゲームコントローラーとして表示されて左右の十時レバーの4軸が認識されれば使用可能だと思います。

      アナログ軸の動作確認は、表示されたゲームコントローラーを右クリック>「ゲームコントローラーの設定」>「プロパティ」で、軸の所でできます。
      左右の十時レバーで2+2の4軸あれば良く、1つの軸ずつ動かしてアナログ軸が1つずつ動けばOKです。
      X軸/Y軸が正方形の中に表示されることがありますが、それが実際の十時のスティックの動きに対応している必要はなく、逆に動いても、左右のスティックの軸の適当な組み合わせで動いてもOKです。
      RealFlightのControllerの設定で設定されます。

      • 匿名 より:

        質問者です。
        ご丁寧にテストまでして頂きありがとうございます。

        https://github.com/Limitex/DJI-RC-N1-Converter/releases
        この常駐アプリを使う事でRC231がコントローラーとして認識されるようになり
        DJI Flight Simulatorで試してみたところ使えるようになりました。

        ただスティックの入力に対する反応が悪く数ミリ動かしても反応せず
        途中から一気に立ち上がるので細かい操作がDJI FSでは出来ませんでした。

        プロパティで動作の確認をしても反応してるので動作は問題なさそうです。
        RFで練習したいと思い実際に使えるのか探してる時にこちらのサイトにたどり着きました。

        管理人さんの見解では認識してれば使えるのでは?との理解で宜しいでしょうか?

        (外部のURL貼ってるのでこちらの質問は非公開もしくはURLを削除でも問題ありません)

        • さうきち さうきち より:

          情報ありがとうございます。有益な情報だと思いますのでリンクはそのままにしたいと思います。

          プロパティの軸動作を確認する画面で、スティック位置を示す点やバーの位置が
          スティック角度に比例して時間遅れなく動けば使えると思います。

          実機を飛ばしているコントローラーなので、中央の不感帯(deadband)がそれほど大きいはずはないと思うのですが。

          時間のあるときに試してみたいと思います。

          • さうきち さうきち より:

            ViGEmBus + DJI RC-N1 Converterを使って、DJI RC231を試してみました。

            RC231はスロットルが中央に戻るので、RealFlightでは、Quadcopter XでFlight ModeをLoiter (GPS ON, 高度保持 ON)にして試してみましたが、自分の感覚では普通に飛ばせました。

            DJI Flight Simulatorでも試してみましたが、こちらも自分の感覚では普通に飛ばせました。

          • 匿名 より:

            質問者です。
            確認ありがとうございます。
            DJI FSだと3mmくらいは動かず初動がドローン本体が傾くくらい一気に動くんですよね…
            プロパティでチェックした感じでは遅延なくリニアに軸は動いてます。

            RFの方でもご確認いただいたと言う事で動作は問題なさそうなので購入してみようと思います。
            ありがとうございました。

          • さうきち さうきち より:

            DJI Flight Simulatorは手を離すとホバリングするドローンだけなので、スティックの中央位置から不感帯が多少あります。
            不感帯がないと、レバーがどちらかに入っていると認識されて、認識された方向に動きますので。
            プロパティでリニアに動いているのなら問題ないのではないかと思います。

            RC231のスロットルは手を離したときにその場で止まるようにできないので、高度保持の入っていないドローンは多少操縦しづらいと思います。

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