まとめ
国保料の算定は世帯毎です。保険料の種別には「医療」・「支援」・「介護」があり、この種別毎に世帯での年間の「最高限度額」が定まっており、世帯の国保加入者の年間の「所得割額」+「均等割額」の和が「最高限度額」を超えている場合には限度額で頭打ちとなります。このとき1年の中で国保加入者が変化する場合の国保料の計算方法を説明します。
背景
令和5年(2023年)6月期以降の「国民健康保険料額通知書」を郵便で受けとったときに、世帯内の月毎の加入者数が変化する場合の国民健康保険料額の計算方法が、横浜市の保険料についてのページに記載されていることだけではわからず、他にも調べてみましたがわかりませんでした。
具体的にわからなったのは、世帯の月毎の加入者が変化する場合の「最高限度額」の取扱です。保険料額を決めるためには、世帯の最高限度額を超過した分を引く必要がありますが、世帯の年間の最高限度額が示されているだけなので、世帯内の月毎の加入者数が変化する場合の最高限度額の取扱がわかりませんでした。
具体的には、小生の配偶者が国保に4~6月のみ加入で、7月以降は別の保険組合に加入したため国保からは抜けました。このように1年の中で構成員が変化する場合の保険料について、通知書と同じ値が求められたので、その方法を説明します。
調べたり条件を変えて計算したりすることで、通知書の額と合ったので、厳密には計算方法が異なっている可能性もあります。本記事は次回以降の自分の備忘的意味が大きいです。
確実に正確なものが必要な場合は、お住まいの自治体にご確認ください。
計算方法
この説明は横浜市の「国民健康保険料」を例に説明しています。「所得割料率」と「均等割料率」は自治体毎に変わってきますので、計算時には、各自治体の値を用います。
加入者が2人で1人は12ヶ月加入、もう1人は3ヶ月加入、の場合について例を示していますが、考え方が分かれば任意の人数が任意の月数加入した場合の計算もできると思います。
「最高限度額」の取扱の要点は、1ヶ月毎に考えるということです。1ヶ月分の最高限度額は示されている「最高限度額」(1年分) の1/12で計算します。
サンプルファイルがあるとわかりやすいと思いますので、Googleスプレッドシートで「国民健康保険料計算」を示します。
この例はAの人が12ヶ月加入、Bの人が3ヶ月加入の場合の例を示しています。
各自治体で異なる値は緑のセル、各人で異なる値は黄色のセルとしています。A, Bの「基準総所得金額」とBの「月数」を変化させたときの年間の保険料額が「総合計」に表示されるようにしました。
セルの計算式を追うことで、下記の説明ではわかりづらい部分が正確にわかると思います。
「ファイル>コピーを作成」でコピーを作成したファイルでは、自由に値を変えて試すことができます。
計算方法は、
「1ヶ月分の所得割額+1ヶ月分の均等割額」の各人合計>1ヶ月分の最高限度額 のときに、
「1ヶ月分の所得割額+1ヶ月分の均等割額」の各人合計-1ヶ月分の最高限度額 の値を求め、
これの12ヶ月の和を求めたものが、「最高限度額超過分」となり、
「医療」・「支援」・「介護」の種別毎に、
「1年分の所得割額+1年分の均等割額」の各人合計-「最高限度額超過分」 を求め、
その和が保険料額となります。
このとき、「最高限度額超過分」を求めるまでは、小数第1位よりも小さい所まで計算し、「医療」・「支援」・「介護」の「最高限度額超過分」の和を求めた後に、1円単位で四捨五入すると、送付されてきた通知書の額と「最高限度額超過分」の額が一致しました。
届いた通知書では、Bの月数が3ヶ月で「介護」の「最高限度額超過分」が6,607円でした。各月を整数で計算しているのであれば3ヶ月分は3の倍数になるはずですが、そうではないので、各月の「最高限度額超過分」は小数を含んだ値になっているはずです。
そこで、途中の計算を小数第何位まで計算するかを指定できるようにして確認してみると、小数第n位(n>=1)まで計算し、3ヶ月分の和を1円単位で四捨五入したときに6,607円が得られました。切り捨てでは6,606になるので、四捨五入としました。
国民健康保険料計算方法概略
所得税や住民税額は、個人毎に概ね以下のように求められます。
一方で、国民健康保険料額は世帯毎に以下のように求められます。住民税・所得税にある「各種所得控除」・「各種税額控除」がないので、国民健康保険料は住民税・所得税に比べて高くなりがちです。
ちなみに、国民健康保険は、加入時は加入した日の属する月分から負担し、脱退時は脱退した月の前月分までを負担します。
該当法令
以上
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